
連載
四十七歳の不調 これは私のこれからの自転車の話
古賀及子
移動手段の中では断然自転車が好きだった。またがってこぎだせば、エンジンをかける間もなくいきなりスピードが出るのがいい。足でこぐと前に進む自転車は、自分と完全に一体だ。景色がびゅんびゅん前から後ろに通り過ぎることに、何って私が速いのだという痛快の手応えがある。 10代の頃に暮らしたのが埼玉にある山の斜面の街で、そこでは傾斜が強いため自転車は使い物にならなかった。その無念を晴らすように、進学のため東京

1979年東京生まれ。エッセイスト。著書に『ちょっと踊ったりすぐにかけだす』(素粒社)、『好きな食べ物がみつからない』(ポプラ社)、『5秒日記』(ホーム社)、『暮らしの信じ方』(ダイヤモンド社)等がある。