
エッセイ
夢の小切手
近藤聡乃
「あの人なんて名前だっけ」と、ふと思い出しては考えていた時期がある。あれは「KiyaKiya」というアニメーションを完成させた少し後だから、たぶん二〇一二年のことだ。 その頃私はニューヨークのクイーンズ北西部、アストリアという地区で一人暮らしをしていた。マンハッタンの川向いでありながら、どこか長閑な街である。四階建ての建物の四階に住んでいた。1Bedroomと呼ばれるリビングとベッドルームの二部屋

マンガ家・アーティスト
1980年、千葉県生まれ、ニューヨーク在住。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2000年に「小林加代子」でアックスマンガ新人賞奨励賞を受賞し、マンガ家デビュー。著書に『うさぎのヨシオ』『A子さんの恋人』『ニューヨークで考え中』、『近藤聡乃作品集』、『不思議というには地味な話』『一年前の猫』などがある。