
エッセイ
連載
母と娘のバケットリスト 急に浴衣を縫い始める
こだま
試験前になると勉強そっちのけで急に部屋の掃除を始める人がいる。私は昔からその手のタイプだった。部屋をきれいにしたら集中力が上がるとか、そんな立派な理由ではない。単純に目の前のやるべきことを先送りし、反射的に逃避する癖がついているのだ。 二〇二六年の私はいつになく原稿に取り組んでいる。新刊や寄稿のタイミングが偶然重なったのだが、その裏には、持病の痛みで身体が思うように動かない日が増えてきて「できるう

連載
母と娘のバケットリスト 急に浴衣を縫い始める
こだま
試験前になると勉強そっちのけで急に部屋の掃除を始める人がいる。私は昔からその手のタイプだった。部屋をきれいにしたら集中力が上がるとか、そんな立派な理由ではない。単純に目の前のやるべきことを先送りし、反射的に逃避する癖がついているのだ。 二〇二六年の私はいつになく原稿に取り組んでいる。新刊や寄稿のタイミングが偶然重なったのだが、その裏には、持病の痛みで身体が思うように動かない日が増えてきて「できるう

連載
母と娘のバケットリスト 私にはウィッグがある
こだま
「死ぬまでにやりたいこと」を書き出したものをバケットリストと呼ぶらしい。二〇二五年の終わりに持病の手術を受けた私は、同じ病気の人の平均寿命を検索してみた。ほんの軽い気持ちだったのだが、とある病院のサイトを見て固まった。「六十代」と書いてあったのだ。 え、あと十年くらいしかないじゃん。 五十代に突入した私は衝撃を受けた。感染症のリスクや、ほかの病気を併発しやすいなどの要因があるようだ。定期的に通院し