蠱王
あなたの考えを共有し、他の人の考えに耳を傾けてみましょう。
読者の言葉
よよさん
30代、女性
クワガタの淡々としたリアルな描写に引き込まれました。 ここからは、小説の感想ではなくて申し訳ございません。クワガタのブリーダーとペットは別物でしょうが、私は大人になってから小型ケージに収まる程度のあらゆる生き物(小魚、小動物など)の、自分が準備した環境のみで生きる状態が怖くなりました。 子供の頃はハムスター、文鳥、熱帯魚を飼っていました。死んだ瞬間、寂しさよりも私が作った世界のみで生きて死んでいったことへの虚しさが辛かったです。今でも、ペットが自分のせいで死ぬ夢を時々見ます。 そんな感覚を思い出した作品でした。
しょうた釜さん
30代、男性、好きな作家:市街地ギャオ
宅配業者の鳴らすチャイムは、異様なボリュームを出力している気がする。 跳ね起こされた体。まだ眠いのに眠れない体。日々の疲れというものは寝るだけではとれないことを土曜日の朝から思い知らされた。 余裕のあるときに読もうと、『蠱王』のページがSafariのタブに鎮座していたのをふと思い出した。今が「余裕のあるとき」ではない気がするが、きっと余裕のないときでもない。 美しい書き出し、からの「尿意」で、ギャオワールドへようこそ。 たった2文を読んだだけなのに、求めているものが得られたような気がした。そして、そのまま最後まで読むことを続けさせられる慣性を帯びた文章がとてつもなく心地いい。それは流行りの音楽から摂取できるリズムとはまったく異なるものであって、だからこそ小説は面白い。 今作に登場する「男」はどこか達観しているように見える人間でありながら、そこからシームレスに逸脱していく。 人間の世界とオオクワガタの世界、同じ世界の中にある違う世界が混じりあっていく過程で、「男」の心だけがつまみ出されていく感覚が、オオクワガタの卵を慎重に取り出す様子と重なった。 ギャオさんが書きたいと思っている、そして書き上げた文章が、自分が読みたい文章であるという偶然のような必然に、これが恍惚の境地であると噛み締めざるを得ない土曜日の朝だった。
OKTANGさん
30代、男性、好きな作家:市街地ギャオ、西加奈子、金原ひとみ
男の身に起きることを淡々と実況中継のように綴っていく文体は、過剰な熱を帯びておらず、するすると読み終えてしまいました。 けれど読み終えた後、「選別される命」であるオオクワガタと人間の対比(というか相似)の描写があまりにグロテスクで(私はどうしても、やまゆり園の事件を想起してしまい)、暗澹たる気持ちになりました。 評価される現実世界に適応しようとした(がしきれなかった)結果、より現実世界の価値観を純化した価値体系を持つ世界を再現してしまうという構造は、一見フィクショナルなようで非常に現実的です。 元々社会的な作品を描く著者だとは感じていましたが、より強くその性質が出ている作品だと感じました。この短さでこれだけの密度と広がりが同時に描かれていることに驚嘆しつつ、障害者=選別される側であるというイメージが再生産されているような印象も残り(作品自体が優生思想を批判的に描いていても)、読み終えた今もぐるぐると心に残っています。 このぐるぐると渦巻くものは、自分にとっても社会にとっても必要なぐるぐるのような気がしています。
asさん
相手に解釈されることのない、与えるだけの愛は、どんな形をしていようと気にしないでいられて心地よい。暴力ですら愛を名乗れる。 こんなふうに一方通行の感情だけで生きていけたら、生きることは楽なのかもしれない。 部屋の中で暴走して形を変えていく愛。 グロ…しかも蟲…ではありますが面白かったです!
mさん
性別:いずれでもない
よくないところは紙の本にまとめられてないとこ!! こんな名作、どんどん布教したいしどこでも読みたいのに……
市街地ギャオ🦖さん
読んでくださりありがとうございます🤩 感想、超モチベになるのでよかったら書いてください! ひとことだけでも、「ここがよくなかった」とかでもまったく🆗です
曲がったサボテンさん
30代、男性
対等な人間関係を築くことができず「一般的な幸福」から疎外された男。 彼のこれまでの経験には同情してしまい、自分も他人事では無いな。と思っていましたが...。 オオクワガタのブリードという題材を通して、現代的な孤独、承認欲求、優生思想、愛情と支配の境界線が溶けた精神の記録を描いた読み応えのある作品でした。 「この描写はエグい」と感じながらも男の意識の流れと地続きで書かれているためか、男の視点に半ば引きずり込まれるような形でスクロールする手が止まることなく読めました。
ひぐれさん
20代、女性
愛っていう字はカクついているはずなのにやわらかい雰囲気がある。その違和感みたいなものが、愛そのものだなと思うし、この男の愛もそんな感じに受け取った。正しい愛なんか定義はなくて、愛を持つときに出てしまう人間の底にある当たり前の暗い感情を「ダメだよ」とかいえないから、この男のことを気狂いとももちろんいえない。でも、男が操ってるように見えて操られてね?という感じもなんだかそれも愛みたいだなぁと皮肉で面白かった。
ru.さん
20代、女性、好きな作家:市街地ギャオ
オオクワガタも精神も容赦なく#グロだったけど始まりの虚が分かっちゃうから、息を潜めて歪みを見届けるしかなかった。ギャオさんの書くどこかのだれかの虚の行き着く先をもっと読みたいと思った。
たなかさん
50代、女性、好きな作家:市街地ギャオ
重い愛の物語だった。読んでいて臭いを感じるまでの禍々しい言語化。人それぞれ、いや、生き物それぞれの愛とそれに伴う壁紙についた傷のような痛みと証拠。ぐっと息苦しくなる、それでいて目が離せない素晴らしい作品でした。

