海(The Internet) 海(The Internet)前編

あなたの考えを共有し、他の人の考えに耳を傾けてみましょう。

読者の言葉

くまこじろうさん

40代、男性、好きな作家:遠藤周作

初めてネット小説読みましたが、感動して心休まりました。

の風さん

私はオンライン上で出来た友人と会ったことがなくこれからもないと思う。主人公の恐れはよく理解できた。 人と関わることの最終目的は生身で会うことなのだろうか。それ以外はそのための準備期間に過ぎないのか。それは私も普段から考えることがある。周囲は皆当然思っているように見えるからだ。そうでなければ価値がないという暗黙の了解を感じる。 文字情報の交換だけが虚しいのもわからないわけではない。 結局リアルに裏切られることはリアルを得られないことより耐えがたく許せないのかもしれない。 オフ会合を断る長文メッセージが面白かった。

眼鏡八郎さん

10代、男性、好きな作家:石川淳、九段理江さん

私は思うんです。リアル世界とネット世界という二項対立は存在しない、と。いつか必ずネッ友に会いたくなってしまうものなのです。彼(彼女)が存在していると知るために。AIの発展によって実態のない人格に疑いをかけることはもはや当たり前になりました。そんな世界での生理的欲求を書いた九段さんに、無礼ながら「それな〜」と申し上げたいのです。今作でもユーモアに笑わせていただけました。

0F3Eさん

40代、男性、好きな作家:Tom Wolfe, Rie Qudan

This is a strong direction for fiction evolution. Love reading the conversation. If from the fiction world, develop a chat system beyond what is available presently to overcome the trouble from no reliable identity, i will feel like flying.

131.takaさん

20代、男性、好きな作家:九段理江さん

作中に登場するようなインターネット黎明期である2001年に生まれ、初めて携帯電話を手にしたのが2015年だった私にとって、作中のようなインターネット環境でのみ繋がる彼らの痛切さや神秘性のようなものをリアルなものとして捉えるのは難しかった。だがこの作品を読んで久しぶりに思い出したことがある。中学1年生だった2013年ごろから約1年間、東日本大震災の被災地となった宮城にある中学の同級生と行った文通のことだ。学校によって文通相手が決められ、1ヶ月に一度互いの返事を読み合う関係が続いた。学校によって強制的に作られた匿名性の高い友情が確かに育まれ、顔のない相手の返事を待ち望む私やクラスメイトがいた。顔の見えない友情はどうしてある種の痛切さを想起させるのだろう。一つの答えが「豆」の発言の中にあると思った。 現実には、声のトーンとか、表情とか、服装とか、沈黙の感じとか、そういう情報が一気に増えるでしょう。 もちろん、それで仲が深まる人たちもいると思うんだ。でも私は、今まで言葉だけで育ててきた関係が、その瞬間から別のものになってしまう可能性を考えてしまうんだ。(本文より引用) この「別のものになってしまう可能性」を多分に孕んだ関係性こそが作中のインターネット上でのやり取りであり、匿名性の高いあらゆるコミュニケーションの本質ではなかろうか。もちろん対面のコミュニケーションにおいても「別のものになってしまう可能性」はある。しかし顔の見えない相手とのやり取りには元来人間が築き上げてきたコミュニケーションに必要不可欠とされてきた(あるいはあまりに自明で看過されてきた)エッセンスが多数欠落している。この多数の欠落こそがまるで細いロープの上に立つかのような絶妙なバランスでのコミュニケーションを成立させ、一歩間違えれば永遠に成立しなくなるような独特の緊張感を直接的ではない形で我々に訴えかけている。ゆえに「独特の美しさがある」。「海(The Internet)」で描かれているような匿名性のコミュニケーションという極めて文明的な人間の営為に、ある種のコミュニケーションの本質が隠れているような気がしてならない。後編が楽しみです。